ビレーの喧騒を背に、ラーンはイシェに肩を叩き、「今日はきっと大穴だ!」と豪快に笑った。イシェは眉間に皺を寄せながら、地図を広げた。「ラーン、またそんなことを言わないで。今日の遺跡は特に危険だって聞いたわよ。慎重に進まないと…」
「大丈夫だ、イシェ。俺が守るから」ラーンの言葉は自信に満ちていた。だがイシェは彼の背後にあるテルヘルの冷たい視線を感じた。テルヘルは静かに剣を研ぎながら、何かを企んでいるかのような不気味な笑みを浮かべていた。
遺跡への入り口は崩れかけており、一歩踏み入れるだけで崩落する危険があった。ラーンが先陣を切って進もうとした時、イシェが彼を制止した。「待った!ここは罠かもしれない」彼女は慎重に地面を確かめながら言った。すると、彼女の足元から石が動き出し、床一面に広がる仕掛けが作動し始めた。
「うわっ!」ラーンは慌てて後退したが、すでに遅かった。仕掛けは彼らを閉じ込めるように壁を築き上げ、出口を塞いでしまった。その時、テルヘルがゆっくりと口を開いた。「これは私の策だ」
イシェは驚愕した。「何だと?」
テルヘルは冷酷な笑みを浮かべながら言った。「この遺跡には、私が探しているものがある。お前たちはあくまで邪魔者だったのだ」ラーンの顔色が青ざめた。彼は自分の軽率さが招いた事態を深く反省していた。そして、イシェがテルヘルの言葉に驚愕する中、彼女は冷静さを保ち、状況を分析し始めた。
「なぜ、こんなことをするのですか?」イシェの問いに、テルヘルはこう答えた。「私はヴォルダンを滅ぼすために、その力を手に入れる必要があるのです」 そして、彼女の視線は遺跡の奥深くへと向けられた。そこには、まだ見ぬ真実が眠っていた。