ラーンの豪快な笑い声がビレーの街並みにこだました。遺跡から持ち帰った破損した石板を前に、彼は興奮気味にイシェに話しかけた。
「ほら見て！今回は何か大物かもな！」
イシェは眉間に皺を寄せながら石板を手に取った。「またか、ラーン。いつもそう言うが、結局はただの欠片ばかりだ」
しかし、彼女の冷静さもラーンの熱意には勝てなかった。二人はテルヘルに報告するために、いつものように酒場で待ち合わせをしていた。
「どうだ、今回は？」
テルヘルの鋭い視線は石板を一瞬で貫き、その後ラーンとイシェの顔へと向けられた。「また無駄な労力か」
彼女の言葉にラーンは肩を落としたが、イシェは少しだけ違う表情を見せた。石板に刻まれた奇妙な記号、彼女はどこかで見たことがある気がした。
「あの記号…もしかしたら…」
イシェの呟きを聞き逃さなかったテルヘルは、テーブルに手を叩きつけた。「待て、イシェ。あの記号についてもっと詳しく教えろ」
イシェは戸惑いながらも、記憶をたどりながら記号の意味を説明した。それはかつてヴォルダンが支配していた地域で見つかった遺跡の地図の一部だった。その地図には、ヴォルダンが隠したという伝説的な財宝の場所が記されていたという。
テルヘルは目を輝かせながら言った。「これは大きなチャンスだ。この石板が真実に繋がるなら、我々の計画は大きく前進する」
ラーンは興奮して fists を握りしめ、「よし！大穴だ！」と叫んだ。しかし、イシェは冷静さを失わずに言った。
「でも、あの記号は…」
イシェの言葉は途中で途絶えた。彼女はテルヘルの鋭い視線を感じたのだ。
「心配するな、イシェ」
テルヘルは薄ら笑いを浮かべて言った。「私は全てを計算済みだ」