日差しが容赦なく降り注ぐビレーの広場。ラーンは、イシェにからかうように言った。
「おい、イシェ。今日はいい予感がするんだ。今日の遺跡で、ついに大穴が見つかるぞ！」
イシェは眉間に皺を寄せた。「またそんなこと？ いつも大穴だ大穴だと騒いでるのに、今まで一度もまともなものを見つけた覚えがないじゃないか。」
「だって、いつか必ず見つかるはずなんだよ！ そう信じるしかないだろ？」ラーンはそう言いながら、大きな剣を背中に担いだ。
その様子を見て、テルヘルは冷めた目で言った。「大穴なんて幻想だ。現実を受け入れなさい。遺跡探索は危険が伴い、そして多くの場合、労力に見合わない結果しか生まない。」
ラーンの顔色が曇った瞬間、イシェはラーンの肩を叩いた。「いいんだよ、ラーン。テルヘルはいつもそんな風に言うけど、僕たちは一緒に遺跡を探索してきたんだろ？ 何度も危険を乗り越えてきたじゃないか。だから、今回はきっと大発見があるはずだ。」
ラーンの顔に再び笑顔が戻った。「そうだな！ イシェにはいつも助けられるな！」
三人はビレーから少し離れた、岩山に囲まれた遺跡へと向かった。遺跡の入り口には、崩れかけた石造りの門があり、その奥には深い闇が広がっている。
テルヘルは地図を確かめながら言った。「遺跡の構造は複雑だ。慎重に進まなければ。」
ラーンの顔色を伺いながらイシェは言った。「テルヘル、あの遺跡の奥深くに眠ると言われる「失われた王冠」のことについて教えてくれないか？」
テルヘルは少しだけ考え込んだ後、ゆっくりと口を開いた。「「失われた王冠」は、伝説によると、かつてこの地に存在した王国が所有していたという強力な魔力の冠だ。その力は想像を絶すると言われている。」
ラーンの目が輝き始めた。「すごいな！ あの冠が見つかれば、僕たちは大金持ちになれるぞ！」
イシェはため息をついた。「また始まった…」
三人は遺跡の中へと足を踏み入れた。薄暗い通路に足音が響き渡り、彼らの緊張感が高まっていく。