ビレーの酒場「三本の矢」の喧騒の中に、ラーンは硬いパンを頬張っていた。イシェはいつものように帳簿を眺めていた。テーブルにはテルヘルが注文した高級なワインの空瓶が転がっている。
「おい、イシェ。今日の稼ぎは？」ラーンの問いかけに、イシェは眉をひそめた。「まだ精査中だ。あの遺跡は思っていたより複雑だった。落とし穴もいくつかあったし」
「そうか…まぁ、テルヘルが言ってたように、今回はいいものが見つかるかもな！」ラーンは目を輝かせた。
テルヘルは静かにワイングラスを傾けていた。「今日の収穫は、この街の市場では高く売れるだろう。だが、より価値のあるものはまだ眠っている」彼女の言葉には自信に満ちていた。
ラーンの顔に自然と笑みが広がった。「そうだな！次はあの伝説の遺跡に挑戦だ！」
イシェはため息をつきながら帳簿を閉じた。「また、無茶なことを言い出す…」
「無茶じゃないよ！大穴が見つかるのは僕らしかいないって信じてるんだ！」ラーンは立ち上がり、テルヘルに近づいていった。
テルヘルは彼の熱意に少しだけ笑みを浮かべた。「そうか。では、次の目的地はどこにする？」
イシェは二人を見つめながら、小さくため息をついた。だが、どこか安心するような気持ちにもなっていた。この三人は、きっと何か大きなものを成し遂げられるだろう。その予感が、彼女の心を温かく包み込んだ。