「おい、イシェ、あの石碑はどうだ?何か刻まれているぞ!」ラーンが興奮気味に声をかけた。イシェは眉をひそめて石碑をじっと見つめた。「ただの装飾品じゃないか。ラーン、また宝の夢でも見ているのか?」ラーンの無計画な行動にはいつもイシェが振り回されることになる。
「夢じゃないって!ほら、この模様、どこかで見たことあるような…」ラーンは指を石碑に当てながら熱心に考えていた。その時、テルヘルが鋭い視線で石碑を見つめていた。「これは…ヴォルダン王室の紋章だ」と彼女は静かに言った。
「ヴォルダン?」イシェは驚きを隠せなかった。ヴォルダンとはエンノル連合と長年の対立を抱える大国だった。その紋章が遺跡に刻まれているということは…。
「何だ、この遺跡はヴォルダンのものなのか?」ラーンは興奮気味に言った。「もしかしたら、とんでもない財宝が眠っているかも!」
テルヘルは冷静に言った。「この紋章は単なる装飾ではない。ヴォルダン王室が何かを隠した可能性がある。そして、それは我々にとって大きなチャンスだ」
イシェは不安を感じながらも、テルヘルの言葉には引き込まれるものがあった。ラーンの夢を叶えるだけでなく、自分たちの運命を変えるチャンスなのかもしれない。
「よし、この遺跡を徹底的に調査するぞ!」ラーンは意気揚々と宣言した。イシェはため息をつきながら、彼についていくことにした。テルヘルは静かに微笑んだ。「さあ、我々の立身への第一歩だ」と彼女は呟いた。