「おい、イシェ、あの石像、どう思う？」ラーンが、埃まみれの石像を指さした。イシェは眉間に皺を寄せながら、石像をくまなく観察していた。「何やら呪文らしきものが刻まれてるけど…よく分からん。触るなよ、ラーン。」
「うっせー。そんなの知るか」ラーンはそう言って、石像に手を伸ばす。イシェはため息をつきながら、ラーンの動きを止める。「待て！あのマーク、見たことあるぞ…」
その時、石像の目から赤い光が放たれ、ラーンは吹き飛ばされた。「ラーン！」イシェは咄嗟に駆け寄り、ラーンの意識を確認した。彼は目を閉じており、顔色は蒼白だった。「大丈夫か…？早く逃げなきゃ！」
イシェはラーンを背負い、慌てて遺跡から脱出した。追いかけてくる光が後ろから迫り来るのを感じながら、イシェは必死に走り続けた。
「…ここは…」イシェは息も絶え絶えに、見慣れない場所で立ち止まった。そこは広々とした平原で、遠くには巨大な城壁が見えた。「一体どこ…？」
その時、背後から冷たい声が響いた。「逃げるな。」
イシェは振り返ると、そこには黒い鎧を身につけた女性が立っていた。鋭い眼光でイシェを見つめるその女性は、まるで死神のようだ。
「お前は誰だ？何をしに来た？」イシェは剣を抜いて構えた。「ラーンを助けろ！」
「ラーンか…あいつはすでに…」女性はそう言うと、剣を抜き捨てた。「お前も一緒に滅びればいい。」