ラーンが興奮気味に遺跡の入口を指さした。「ほらイシェ、見てみろ！今回は絶対何かあるぞ！」彼の目は輝き、いつものように大穴を掘り当てた時の豪語を口にしていた。イシェはため息をつきながら、ラーンの背後から彼の手を引っ張った。「待てよ、ラーン。まずは落ち着いて計画を立てないと。あの遺跡は危険だって言ってたじゃないか。」
テルヘルが影のように二人に近づき、薄暗い空気を切り裂くように言った。「計画？必要ない。私はその遺跡の地図を持っている。そして、そこには私が欲しものがある。」彼女の瞳は冷たい炎を燃やしていた。
日が沈みかけ、窓明かりが彼らの顔にオレンジ色に染まる中、三人は遺跡の入り口に立った。イシェは不安な気持ちでラーンの後ろに隠れるように立ち、テルヘルは鋭い視線で周囲を観察していた。ラーンの興奮を抑えきれず、遺跡へと駆け込んだ。
暗い通路を進んでいくにつれて、壁には奇妙な模様が刻まれており、不気味な静けさが支配していた。イシェは背筋がゾッとするような感覚を覚え、窓明かりが差し込まない深い闇を恐れた。
「ここは…」ラーンの声が震えていた。「何か変だ。」
その時、地面が激しく揺れ始め、天井から石が崩れ落ちた。三人は慌てて身をかわしたが、イシェは足元を滑らせ、バランスを崩した。
「イシェ！」ラーンが叫びながら彼女に手を伸ばそうとした瞬間、床が大きく割れ、イシェは深い闇へと落ちていった。
「イシェー！」ラーンの悲鳴が遺跡中に響き渡った。テルヘルは冷静さを保ち、「落ち着け、ラーン。まだ諦めるには早すぎる。」と冷たく言った。「あの穴からは戻れないかもしれない。だが、イシェを助けられる道がある。」
ラーンの瞳に恐怖の色が宿っていた。しかし、イシェへの強い思いが彼を突き動かした。彼はテルヘルの指示に従い、危険な遺跡の奥へと進んでいくことを決意した。窓明かりが彼らの姿を見守るように、薄暗い空間に浮かび上がっていた。