ラーンが岩を蹴飛ばすと、小石が跳ね返ってイシェの顔面に直撃した。「おい、ラーン!危ないだろ!」イシェは顔をしかめながら石を払いのける。ラーンの笑い声が響き渡る遺跡の入り口。「ほら、またイシェが怒ってるぞ」とラーンはニヤリと笑う。
「だってさ、いつまでもそんなことしてたら大穴なんて見つからないだろう?もっと真剣にやらないと」イシェは眉間に皺を寄せながら言った。「テルヘルさんの依頼も大事なのに…」
「わかってるよ、わかってる。でもね、たまには息抜きも必要だろ?」ラーンの目は遺跡の奥深くを見据えていた。「それに、今日はいい日だぞ。この空気を吸えば、何かが起こる予感がする」
イシェはため息をつきながら、背後から来たテルヘルの方を見た。テルヘルはいつも通り無表情で、薄暗い遺跡の入り口に佇んでいた。彼女の鋭い視線は、まるで遺跡の奥底に潜む秘密を穿つかのようだった。
すると、突然、激しい突風が吹き荒れ始めた。遺跡の入り口付近では砂埃が巻き上がり、視界を遮った。「なんだこれは?」ラーンは目を細めて風を払いのけた。「急に風が強くなったな」イシェも驚きの声を上げた。
テルヘルは静かに剣を構え、周囲を見渡した。「何かがいるようだ…」彼女の言葉に、ラーンの心にも不安が忍び寄る。突風が吹き荒れる中、遺跡の奥から不気味な音が聞こえてきた。それはまるで、古代の呪いが解き放たれたかのような音だった…。