「よし、ここだ！」ラーンが、苔むした石碑を指さす。イシェは眉間に皺を寄せて、碑文を解読する。「古代語で書かれている…『禁断の奥殿』と、警告文？」
「警告文なんて気にすんな！宝があるんだろ？俺たちの大穴だ！」ラーンは興奮気味に剣を抜く。イシェはため息をつき、テルヘルに視線を向けた。「どうしますか？」
テルヘルは石碑をじっと見つめた後、ゆっくりと頷いた。「突破する価値はある。準備を整えよ。」
石碑の背後には、崩れかけた階段が続く暗い通路があった。ラーンの無謀な突進をイシェが制止し、慎重に足場を確認しながら進んでいった。テルヘルは後ろから二人の様子を見つめながら、地図を広げ、何かを呟いていた。
通路の奥深くには、巨大な扉が阻んでいた。扉には複雑な紋様と、錆び付いた鍵穴が刻まれていた。「ここが…禁断の奥殿か…」イシェは息をのんだ。ラーンは扉に手を当て、力任せに引っ張ろうとするが budge しなかった。「くっ…開かない！」
テルヘルが近づき、扉の紋様をじっと見つめた。「鍵が必要だ…この紋様が示すのは…」彼女は地図を広げ、指で線をなぞった。「古代遺跡の地図…ヴォルダン帝国の記録にあったはずだ。」
「ヴォルダンか…」ラーンの顔色が曇る。「あの国が関わっているとしたら…厄介だ」
イシェは冷静に言った。「鍵を見つければ突破できる。テルヘル、その地図を頼りに探してみませんか？」
テルヘルは頷き、地図を握りしめた。「この扉の向こうには何かがあるはずだ。俺たちが突破する道を開く鍵が…」彼女は視線を遠くに向け、決意を固めたように言った。「ヴォルダン帝国に復讐するために。」