「よし、今日はここだな」
ラーンが地図を広げ、指で遺跡の場所を示した。イシェは眉間に皺を寄せて地図を睨んだ。
「またあの辺り?ラーン、あの遺跡はすでに何十回も探検してるだろう。もう何も残ってないはずだ」
「いやいや、イシェ。俺には何か感じるんだ。今回は違うって!ほら、ほら、この記号、見てみろ!」
ラーンは興奮気味に地図の一部分を示した。イシェはため息をつきながらその記号を見た。確かに以前とは違う記号だった。
「もしかして...これは?」
「そうだな!あの伝説の『積立』の場所かもしれないんだ!」
ラーンの目は輝き、イシェも思わず小さく頷いた。「積立」とは、古代文明が遺したとされる、莫大な財宝が眠ると言われる場所だ。それは単なる噂に過ぎないという人も多いが、ラーンはそれを信じて疑わなかった。
「よし、準備はいいか?テルヘルにはどう伝えようかな...」
イシェは少し躊躇した。「あの人の反応は読めないよ。特に今回は...」
「大丈夫だ!俺が説得する。きっと納得してくれるさ!」
ラーンは自信満々にそう言い切った。イシェは深くため息をつき、後ろから続くテルヘルの冷たい視線を感じながら、遺跡へ向かうラーンの背中を見送った。