ビレーの薄暗い酒場で、ラーンが大きな声で笑いを誘う。イシェは眉間に皺を寄せ、テルヘルは静かに酒を傾けていた。テーブルには空になった樽と食べ残しがあった。
「おい、イシェ、お前も少し笑えよ!あの遺跡、あんなに危険な罠が仕掛けられてるなんて思わなかっただろう?まるで生き物を相手にしてるみたいだったぜ!」
ラーンの言葉にイシェはため息をついた。「ラーン、あの遺跡で手に入れた遺物は一体何だったのか。まだ Appraisal で確認もしてない。」
「ああ、そうだな。後でやればいいじゃないか。今日は祝杯だ!」
ラーンはさらに酒を注ごうとしたその時、テルヘルが静かに口を開いた。「あの遺跡には何か奇妙な匂いがした。まるで...」彼女は言葉に詰まった。
「まるで?」イシェは顔を上げ、テルヘルを見つめた。
「まるで、遠い昔、誰かがそこにいたような... 忘れ去られた記憶の残骸のような... 」
テルヘルは言葉を濁すように、酒を口に運んだ。ラーンは彼女の表情を不思議そうに見ていたが、すぐにいつもの笑顔に戻った。「そんなことより、次の遺跡はどこにする?あの辺りにはまだ未探索の場所があるらしいぜ!」
イシェはラーンの言葉に耳を傾けながらも、テルヘルの言葉が頭に残り続けていた。あの奇妙な匂い... それは一体何だったのか。そして、その匂いは一体何を意味するのか。彼女は不安な気持ちを抱きながら、次の遺跡へと向かう決意をした。