ビレーの市場が活気に満ち溢れる中、ラーンはイシェにからかい半分で言った。「おい、イシェ、今日は大穴が見つかる予感がするぜ！」
イシェはいつものように眉をひそめた。「またそんなこと？ ラーン、現実的な考え方を身につけないと。」と、彼女は冷静に言った。
「現実的？ 僕には冒険と夢の方がずっと好きだ！」ラーンの笑顔は太陽のように眩しかった。
その日の遺跡探索は、いつもと違う緊張感に包まれていた。テルヘルが持ち出した地図には、かつてヴォルダン帝国の兵士が記した謎の記号が散りばめられていた。「これは何だろう？」イシェは地図を指さしながら尋ねた。
「ヴォルダンの記録によると、これは『秩序』と呼ばれる古代文明の遺物に関するものらしい」テルヘルは静かに言った。彼女の瞳に、復讐への執念と、何か別の感情が渦巻いていた。
遺跡の奥深く、彼らは巨大な石壁の前にたどり着いた。「ここが『秩序』の扉だ」テルヘルはそう言い、壁に刻まれた複雑な模様を指さした。
「この模様は…まるで、ヴォルダンの紋章に似ている…」イシェは呟いた。
ラーンは、興奮を抑えきれない様子で壁に触れた。「さあ、大穴が見つかるぞ！」
その時、石壁から不気味な光が放たれ、三人は眩い閃光の中に飲み込まれていった。
目を覚ますと、そこは広大な地下空間だった。壁には、古代文明の文字が刻まれており、中央には巨大な装置があった。その装置からは、何とも言えない力を感じることができた。
「これは…！」イシェは言葉を失った。
テルヘルは冷静に装置を観察し、「これは『秩序』の遺産だ。ヴォルダン帝国はこれを利用して、世界を支配しようと企んでいたのだろう」と語った。
ラーンの胸には、冒険心よりも、何か大きなものを感じ取った。それは、秩序と混沌が織りなす、この世界の運命を左右する力だった。