ラーンの大剣が遺跡の奥深くへと轟き渡る。石塵が舞う中、イシェは細かな文字を刻んだ石板を慎重に拾い上げた。
「また古い呪文か…。」
イシェの呟きにラーンは苦笑する。「そんなもん解読できるのか？」
「まぁ、テンプル騎士団の秘伝書には載ってたような…」
イシェはそう言うと、テルヘルに振り返った。「この石板、価値がありそうですね。もしかしたら、ヴォルダンとの戦いに役立つ情報が…」
テルヘルの表情は硬く、石板をじっと見つめる。「情報…か。」彼女は小さく呟いた。「あの男が何を企んでいるのか…。」
その時だった。地面が激しく震え、天井から塵埃が降り注いだ。遠くで何かが崩落する音が響き渡る。
「なっ！？」ラーンは剣を構える。「何だこれは！」
イシェの顔色は青ざめた。「遺跡崩壊…だと！？まさか…」
その時、テルヘルは石板に目を凝らせた。石板の表面に刻まれた呪文が、かすかに光り始めたのだ。
「これは…」テルヘルの瞳が鋭く光る。「秘術だ！この遺跡を封じるためのもの…！」
ラーンとイシェは驚愕する。秘術？それは伝説の魔法だと…。
「早く逃げろ！」テルヘルは叫び、石板を地面に叩きつけた。その瞬間、石板から強烈な光が放たれ、遺跡全体を包んだ。壁に刻まれた紋章が輝き始め、崩落する遺跡の隙間から、何かが這い出て来た…。
ラーンとイシェは恐怖で言葉を失った。遺跡崩壊から逃げるべきなのに、足がすくんで動かない。目の前で、テルヘルは石板を握りしめ、何かを唱えている。その声は、力強く、そしてどこか悲しげだった。