「おい、イシェ、あの石像、どうだ？何か刻まれてるぞ？」
ラーンが興奮気味に巨大な石像の基部に手を伸ばした。イシェは眉間に皺を寄せて、石像全体を注意深く見渡した。「待てよ、ラーン。あの記号…どこかで見たことがあるような…」
「そんなことより、何か隠れてるんじゃないか？この遺跡には必ず何かあるはずだ！」
ラーンの言葉にイシェはため息をついた。いつも通りのラーンだ。計画性もなく、目の前のものしか見ない。だが、彼の無邪気な明るさは、イシェ自身を現実の暗闇から少しだけ引き上げてくれる存在だった。
「よし、わかった。でも、あの記号の意味が気になるな…」
イシェは石像に刻まれた複雑な模様をなぞりながら呟いた。その瞬間、石像の表面がわずかに光り、空気を震わせるような低い音が響き渡った。
「何だこれは！」
ラーンの叫びと共に石像の目から赤く不気味に輝く光が放たれ、周囲の壁面には、まるで生きたように脈打つ複雑な模様が広がっていった。
「これは…禁断の果実の印…？まさか…」
イシェは恐怖で声が震えた。伝説に語られる禁断の果実とは、触れた者を狂気に陥れ、世界を破滅へと導くという邪悪な力を持つ存在だった。
その時、石像から強烈な光が噴出し、ラーンとイシェを包み込んだ。 blinding light filled their vision, and then everything went black.