ビレーの広場には、色とりどりの旗が翻り、陽気な音楽が流れ出した。年に一度の harvest祭だ。ラーンとイシェは、テルヘルと共に酒場で一杯やりながら、祭りの賑わいを眺めていた。
「今年は特に盛んだな。遺跡探索で稼いだ金も少しは役に立ってるかい？」
ラーンの言葉に、イシェは苦笑いした。
「大穴はまだ見つからないし、この祭りが終わればまたいつもの日暮らしに戻るんだろう」
テルヘルは酒を一口飲み干すと、鋭い目で二人を見据えた。
「お前たちには、もっと大きな目標があるはずだ。この国が、そしてヴォルダンがどうなろうと関係ない。お前たちは自分の夢に向かって進むべきだ」
イシェはテルヘルの言葉に少しだけ心を揺さぶられた。確かに、彼女はいつも自分たちの夢を軽視しているように見えた。だが、その一方で、どこかで諦めかけている自分を責める気持ちもあった。
祭りの喧騒が最高潮に達する頃、突然、広場の中央で大きな音が響き渡った。人々がざわめき、驚きの声とともに広場を見上げていた。
空には、巨大な影がゆっくりと近づいてくる。それは、かつてこの地を支配していたと伝えられる古代文明の巨大飛行船だった。その姿は、まるで祭りに訪れた神のように、人々を圧倒した。
ラーンは目を丸くして言った。
「あの遺跡…まさか…」
イシェも言葉を失った。彼らは、数日前、その遺跡から奇妙な石板を発見していた。石板には、巨大飛行船の制御方法が記されていたのだ。
テルヘルは、興奮を抑えきれずに言った。
「これはチャンスだ！この飛行船を手に入れれば、ヴォルダンをも恐れさせる力になる！」
イシェは、テルヘルの言葉に戸惑いを隠せなかった。だが、ラーンの顔には、かつてないほどの決意が浮かんでいた。祭りの喧騒を背に、三人は古代の遺跡へと向かった。