ビレーの朝はいつも早かった。ラーンはイシェを起こすように床を蹴り上げた。「今日はいい日になるぞ！きっと大穴が見つかる！」
イシェは眠った目をこすりながら、「またそんな夢でも見たのか」と呟いた。ラーンの無計画な冒険に付き合わされていることに、どこか疲れていた。
今日はテルヘルからの依頼だった。ヴォルダンとの国境付近にある遺跡を調査するのだという。危険な場所だとイシェは思っていたが、ラーンは目を輝かせていた。「高額の日当だぞ！それに、あの遺跡には何か秘密があるって噂だろ？もしかしたら神族の遺物が見つかるかも！」
テルヘルはいつも通り冷静に指示を出した。「遺跡の奥深くにあると推測される部屋を目指せ。そこにはヴォルダンが欲しがっているものがあると確信している。絶対に手に入れろ」その瞳には冷酷な光が宿っていた。
遺跡の入り口は崩れかけており、薄暗い通路が広がっていた。ラーンが先頭を切り、イシェとテルヘルが続くように進んだ。壁には古びた絵画が描かれており、神族の姿が描かれているものもあった。イシェはその絵画に目を留め、どこか懐かしい気持ちになった。
深く進むにつれ、空気は重く、不気味な静けさが漂っていた。突然、ラーンが叫んだ。「敵だ！」影の中から何者かが襲いかかってきた。剣を抜き、激しい戦いが始まった。ラーンの力強い剣技とイシェの機敏な動きでなんとか敵を退けることができた。
しかし、その戦いはまだ序章に過ぎなかった。遺跡の奥深くには、ヴォルダンが狙う真の目的が待ち受けていた。それは神族の力を秘めた強力な遺物だった。テルヘルはそれを手に入れるために、どんな手段も厭わない覚悟を見せていた。
ラーンとイシェは、テルヘルの目的を知りながらも、彼女と共に遺跡の奥へと進んでいく。彼らの前に広がるのは、壮絶な戦いと、神族の秘密に隠された真実だった。