祝詞

神前で読み上げる祈りの言葉。

物語への影響例

言語の呪術的力。伝統の継承と権威の源泉。共同体の結束を強める儀式的言語。

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ラーンが巨大な石の扉を押し開けた時、埃っぽい空気が充満し、彼の鼻腔をくすぐった。イシェが後ろから「本当にここなのか?」と呟いた。ラーンの胸は高鳴っていた。

「ほら、言っただろう!大穴が見つかるって!」

イシェは懐疑的な目で、壁に描かれた奇妙なシンボルを眺めていた。

「この記号…どこかで見たことがある気がする…」

テルヘルが近づき、シンボルの周りを指さしながら言った。「これはヴォルダンの古い祝詞だ。古代の儀式に使われていたらしい」

ラーンの顔色が変わった。「ヴォルダン?なんでこんな場所に?」

テルヘルは涼しい目で言った。「この遺跡にはヴォルダンが何か隠しているはずだ。我々が探している大穴とは別のものかもしれない」

イシェは不安そうに言った。「危険すぎるんじゃないか?」

「大丈夫だ」ラーンは剣を構え、誇張して笑った。「俺たちが怖いものなんてないだろう!」

だが、彼の目は少し震えていた。

彼らは奥深くへと進んだ。石畳の床に足音が響き渡り、壁からは不気味な影が伸びてくる。静寂の中で、かすかに聞こえるような、風の唸る音や水滴の落ちる音が彼らを襲った。

そして、ついに、巨大な部屋に出た。天井から降り注ぐ光で照らされたその中心には、祭壇のような石組みがあり、その上には奇妙な金属製の球体が鎮座していた。球体からは、脈打つような光が放たれ、部屋全体を不気味な輝きで満たしていた。

「これは…」イシェは息をのんだ。「何か大きな力を感じるの」

テルヘルは慎重に近づき、球体を観察した。「ヴォルダンの祝詞…この球体には、古代の力を封じ込めている可能性がある」

ラーンは興奮気味に言った。「もしこれが大穴なら、俺たちは…」

その時、球体が突然光り輝き始めた。部屋中に衝撃波が走り、彼らはよろめきながら倒れ込んだ。そして、球体から、不気味な声が響き渡った。それは、古代の祝詞のようであり、同時に、呪いの言葉のようだった。

イシェは恐怖で声も出ない。ラーンは剣を握りしめ、立ち上がった。「何だこれは…!」

テルヘルは冷静さを保ち、球体を見つめていた。彼女の瞳に、憎しみの炎が燃え上がっていた。

「ヴォルダン…」彼女は呟いた。「ついに、お前との決着の時が来た」