ラーンの大 swing が石の壁を粉砕した。埃が舞う中、彼は胸を張って笑った。
「ほら見ろイシェ!俺様は言っただろ? この遺跡には何かあるって!」
イシェは眉間に皺を寄せながら、崩れた壁の向こう側を慎重に覗き込んだ。
「本当に何かあるのか、まだ分からないわ。ラーン、いつも大げさな話ばかりするじゃないの」
「ああ、でも今回は違う気がするんだ!ほら、あの光…!」
ラーンの指さす方向には、崩れた壁の隙間から淡い青い光が漏れていた。イシェは一瞬息を呑んだ。それは、遺跡でよく見かける単なる蛍光の類のものではなく、どこか神聖な雰囲気を漂わせる光だった。まるで祝福を受けたかのような光だった。
「よし!これは大発見だ!」
ラーンは興奮気味に rubble をかき分け始めたが、イシェは彼の腕を抑えた。
「ちょっと待てよラーン。あの光…もしかしたら危険かもしれない」
「危険?そんな…」
ラーンの言葉が途絶えた時、光が激しく輝き、壁の隙間から何かが流れ出してきた。それは、まるで液状の光のようなもので、空中に浮かび上がるとゆっくりと形を変え始めた。やがてそれは、美しい羽根を持つ天使の姿になり、その瞳は深い青色に輝いていた。
「…」
ラーンとイシェは息を呑んで、その光景を見つめていた。天使は静かに羽ばたき、二つの光が放たれた。一つはラーンの胸に、もう一つはイシェの胸に吸い込まれていった。そして、天使は再び光となり、消えていった。
ラーンとイシェは互いの顔を見合わせた。二人は、何か大きなものに触れたような、そんな予感がした。
その時、遠くでテルヘルの声が聞こえた。
「二人とも、準備は良いか?次の遺跡に向かうぞ!」