ビレーの喧騒を背に、ラーンはイシェとテルヘルと共に遺跡へと足を踏み入れた。灼熱の太陽が容赦なく照りつける中、彼らの前に広がるのは、崩れかけた石柱や朽ち果てた壁が残る、かつて栄華を誇った都市の面影だった。
「ここが噂の『星降りの塔』か」
イシェは地図を広げながら呟いた。テルヘルは鋭い視線で周囲を観察し、「この遺跡には、ヴォルダンが求める『破片』の一部が眠っているはずだ」と断言した。ラーンの耳に、それは単なる冒険話ではなく、危険を伴う重大な任務に聞こえた。
彼らは崩れた階段を慎重に登り、かつての住居跡へと足を踏み入れた。壁には奇妙な模様が刻まれており、埃をかぶった遺物も散らばっていた。イシェは慎重に遺物を調べる一方、ラーンは興奮気味に宝探しの気分を味わっていた。
「おい、イシェ、これ見てみろ!」
ラーンの声が響き渡り、イシェが駆け寄ると、彼は床に落ちている石板を見せつけた。そこには複雑な図形が刻まれており、その中心には輝く青い宝石が埋め込まれていた。
「これは…」
イシェは息を呑んだ。「破片の一部だ」
その時、突然の轟音が響き渡り、遺跡の奥から怪物の咆哮が聞こえてきた。ラーンとイシェは慌てて剣を抜く。テルヘルは冷静に状況を判断し、「あの怪物は『破片』の力を欲している。我々が先にそれを手に入れなければ…」
三人は互いに協力し、遺跡の奥深くへと進んでいった。崩れた通路を進み、謎のトラップを回避しながら、彼らはついに『破片』が安置されている部屋にたどり着いた。そこには、巨大な水晶球が浮かんでおり、その周りを怪物がうろついていた。
「これは…」
イシェは目を丸くした。「『星降りの塔』の真の姿…そして、ヴォルダンが欲しがる『破片』の正体…」
ラーンは剣を握り締め、「俺たちには、それを守る使命がある!」と叫んだ。