ラーンが巨大な石の扉を押し開けた時、埃が舞い上がり、薄暗い空間に充満した。イシェは鼻をつまんで咳き込みながら、「またもガラクタばかりか?」と呟いた。ラーンの顔は期待に満ち溢れていた。「いや、今回は違う!この奥には何かあるはずだ!」
テルヘルは鋭い目で周囲を警戒しながら言った。「ここはかつてヴォルダンの支配下にあり、多くの遺跡が破壊された場所だ。貴重な遺物が見つかる可能性もあるが、危険も高い。」
イシェはため息をついた。「またテルヘルの脅し話か…」
ラーンは扉の奥へと進んでいく。石畳の床は苔むしており、崩れかけた柱が不気味に立ち上がっていた。壁には剥落した絵画が描かれており、かつて栄華を極めた文明の影を感じさせた。
「ここだ!」ラーンは興奮気味に叫んだ。巨大な石棺が中央に置かれており、その表面には複雑な模様が刻まれていた。イシェは石棺に近づき、慎重に蓋を開けた。中からは黄金でできたマスクと、朽ち果てた布の巻物が出てきた。
「これは…!」テルヘルは目を輝かせながらマスクを手に取った。「これはヴォルダン王家の秘宝だ!」
ラーンの顔も広がった。「やったぞ!これで大金持ちになれる!」
イシェは不吉な予感を覚えた。この石棺には何かが封印されているような気がした。そして、その封印を解き放つことは、彼ら自身をも破滅に導くかもしれないと…。