ラーンが興奮気味に遺跡の入り口を示した。「ここだ!イシェ、テルヘル、見てくれ!」
イシェは眉間に皺を寄せた。「また見つけたか?ラーン。あの洞窟はすでに調査済みだし、危険だって聞いたぞ。」
「そんなこと気にすんなって!今回は違うんだ。この遺跡、昔からの言い伝えでね、巨大な宝が眠っているらしいんだ!」
テルヘルは冷静に地図を広げ、「言い伝えはあくまで言い伝えだ。具体的な情報がない限り、リスクを冒す価値はない。」と切り捨てた。
しかしラーンの熱意には勝てない。「ほら、テルヘルさん!今回は破格の日当だぞ?宝が見つかったら、みんなで分け合うんだ!」
テルヘルの視線が鋭くラーンに釘付けになった。「宝?」と冷たく尋ねた。「一体どんな宝を想像しているのだ?」
ラーンの目は輝いていた。「もちろん、金貨の山!宝石の山!そして…」彼は少し声を低くした。「伝説の剣だと聞いたことがあるんだ!」
イシェはため息をつきながら言った。「またあの話か…」
テルヘルは考え込んだ後、ゆっくりと口を開いた。「もし、本当に伝説の剣が見つかったら…。それは私にとって、ヴォルダンへの復讐を果たすための強力な武器になる。」
ラーンの顔色は一変した。「そうか!テルヘルさん、お前も賛成したのか?」
イシェは諦めたように言った。「まあ、今回は仕方ないか…」
こうして、破格の日当と伝説の剣という夢に釣られ、三人は再び遺跡へと足を踏み入れた。