ラーンの大斧が石壁を砕き、埃のモニュメントが現れた。「よしっ、何かあるぞ!」
イシェは眉間にしわを寄せながら、慎重に足場を確認した。「待て、ラーン。あの壁画…おかしいぞ。」
壁画には、鮮やかな色彩で神話上の獣が描かれていたが、その一角には不自然な亀裂が入っていた。まるで、何かが無理やり切り取られたように。
「気にすんな、イシェ。そんな細かいことより、宝探しのほうが大事だろ?」ラーンは豪快に笑って、壁画の奥へ足を踏み入れた。
しかし、その瞬間、床が崩れ始めた。ラーンは咄嗟にバランスを保ったものの、イシェは足元が抜けて下に落ちてしまった。
「イシェ!」
ラーンの叫びがエコーのように響き渡る中、イシェは暗闇の中に消えていった。
慌てて駆け降りたラーンの目の前には、深い chasm が広がっていた。壁には、イシェの姿が見えたが、足元には崩れた石畳が積み重なっており、登ることはできない。
「イシェ!」
ラーンの叫び声は、遥か彼方へと消えていった。その時、テルヘルは冷静に状況を分析していた。彼女は、この遺跡の奥深くで、ヴォルダンに関するある秘密の手がかりを得るために、ラーンとイシェを利用していた。
しかし、今、イシェが危機に瀕している。
「これは…」テルヘルは、胸の奥に冷たいものが広がるのを感じた。「破損」した壁画の向こう側に何かがあるのだろうか?そして、イシェを救うにはどうすればいいのだ…?
彼女は深呼吸をして決意した。
たとえどんな犠牲を払わなければならないとしても、この遺跡の秘密を暴き、ヴォルダンに復讐を果たすのだ。