「あの石碑、どうだ?」ラーンが指さすのは、崩れかけた遺跡の奥深くで光る石碑だった。イシェは懐中電灯で照らしながら慎重に近づいた。「古代語で書かれているみたいだけど…よく分からない」
「ま、いいだろ!そんな難しいもんじゃねえ!」ラーンは石碑を蹴飛ばそうとした瞬間、イシェが彼の手首をつかんだ。「待て!何か罠があるかもよ!」
その瞬間、石碑の表面に刻まれた紋様が赤く光り、床から鋭い棘が突き出た。ラーンはわずかに身をかわし、イシェは素早く彼を引っ張り出した。
「危なかった…」イシェが息を切らしながら言った。「これは一体…?」
その時、テルヘルが静かに口を開いた。「古代の防衛システムだ。この遺跡には、知能を持った罠が仕掛けられている」
ラーンの顔色が変わった。「知能…って?」
テルヘルは冷静に説明した。「単なる機械仕掛けではない。周囲の状況を判断し、侵入者に対処する能力を持つものだ」
「そんな…」ラーンは言葉を失った。イシェは冷静に考えを進めた。「つまり、この遺跡には何か重要なものがあるってことか?」
テルヘルは小さく頷いた。「そうだろう。そして、それを守るために高度な知能を持った防衛システムが用意されている」
ラーンの視線が石碑に向き直った。「よし、じゃあどうだ?あの石碑を解読してみろ!」
テルヘルは少し考えた後、言った。「私は知識と交渉術を得意とする。しかし、この遺跡の謎を解き明かすには、あなたの力も必要だ」彼女はラーンとイシェを見つめた。「知恵と勇気、そして互いを信じる心。それがあれば、この遺跡の真実、そしてその先に待つものを見つけられるかもしれない」