ラーンの粗野な笑い声が遺跡の薄暗い通路にこだました。イシェは眉間に皺を寄せていた。「本当にここが正解なのか、ラーン？」
「ほら、あの壁画、よく見ろよ！」ラーンは興奮気味に壁画を指差した。そこに描かれていたのは、複雑な模様と幾つかの記号だ。イシェは懐からメモ帳を取り出し、慎重に記号を書き写した。「確かに見たことのない記号だけど…何か意味があるのか？」
その時、後ろから冷めた声が聞こえた。「この遺跡には罠が仕掛けられている可能性が高い。安易な行動は控えるべきだ。」テルヘルが鋭い視線で二人を見下ろしていた。彼女の瞳孔は狭く、まるで獲物を見据えている獣のようだった。
「罠か…」ラーンの顔色が変わった。イシェも緊張した。「じゃあどうすればいいんだ？」
テルヘルは地図を広げ、指で記号をなぞった。「この記号が示す場所には何かあるはずだ。だが、慎重に進まなければ危険だ。」彼女は瞳孔を瞬きさせながら言った。「特に、この遺跡の奥深くに眠るものは…」
その瞬間、通路の床から黒い煙が噴き出した。ラーンの足元が崩れ、彼はバランスを崩して転げ落ちた。イシェは驚いてラーンに手を伸ばそうとしたが、同時に床から鋭い棘が突き出た。テルヘルは素早く飛び上がり、棘をかわした。
「罠だ！」彼女は叫んだ。イシェはラーンの姿が見えなくなり、恐怖で瞳孔が開きっぱなしになった。「ラーン！」
煙が晴れると、ラーンの姿が床に倒れているのが見えた。彼は意識を失っていた。イシェは駆け寄ろうとしたが、テルヘルが彼女を制止した。「今は危険だ。落ち着いて状況を見極めろ。」彼女の瞳孔は冷たく光り輝いていた。
イシェは恐れながらも、ラーンの顔を見た。彼の顔には血が流れ落ち、呼吸も浅かった。イシェの瞳孔が震えた。彼女は、この遺跡で何か恐ろしいものを目覚めさせてしまったのかもしれないと感じた。