「よし、今回はあの洞窟だ！」ラーンが目を輝かせると、イシェはため息をついた。「またあの危険な場所？ 何度も言ってるだろう、あの洞窟は噂では呪われているって」
ラーンはそんなイシェの言葉を無視して、剣を片手に洞窟へ向かっていった。テルヘルは背後から彼を見つめながら、「準備はいいか？」と尋ねた。イシェは小さく頷くと、テルヘルの後ろをついていった。
洞窟の入り口は薄暗く、不気味な静けさがあった。ラーンの足音がこだまし、その音だけが洞窟内に響き渡る。イシェは緊張した表情で周囲を見回し、テルヘルは常に警戒を怠らないようにしていた。
「ここなら何か見つかるはずだ」ラーンがそう言うと、洞窟の奥へと進んでいった。イシェは彼に後を続けようとした時、一瞬、視界が歪んだ気がした。まるで目の前に何かが瞬きをしたような感覚だった。
「イシェ、何だ？」ラーンの声が響いてきた。イシェは慌てて顔を上げると、ラーンが洞窟の奥へと進んでいく姿をみつけた。「あ、あの…」
しかし、その瞬間、地面が崩れ始め、ラーンはそのまま奈落に落ちていった。イシェとテルヘルは驚き、駆け寄ろうとしたが、もう手遅れだった。
「ラーン！」イシェの叫び声が洞窟中に響き渡った。テルヘルは冷静に状況を判断し、「あの崩れた場所を調査するぞ」と切り出した。イシェは頷き、恐怖を抑えながらテルヘルの後を続けた。
崩れた場所には、深い闇が広がっていた。イシェは恐怖で体が震えたが、ラーンを助け出すために、必死に足掻いて進んでいった。テルヘルもまた、何かに導かれるように、静かに闇の中へと進んでいった。
そして、その瞬間、イシェは再び視界の歪みを感じた。まるで、何かが瞬きをしたような気がしたのだ。