ラーンの豪快な笑い声がビレーの狭い路地裏にこだました。イシェは眉間に皺を寄せながら、彼を睨みつけた。「本当にこれでいいんですか？テルヘルが言ったように、あの遺跡は危険だって。」
「大丈夫だよ、イシェ。ほら、見てろ！」ラーンは胸を叩き、錆びた剣を片手に、迷路のような遺跡の入り口へと向かった。イシェはため息をつきながら、後を追いかける。
テルヘルは、少し離れた場所で真顔で地図を広げていた。その冷たい視線が二人を貫いていた。「時間が無駄になる前に、 relic を手に入れましょう。」彼女の言葉は氷のように冷たかった。
遺跡内部は暗く、湿った空気が重くのしかかっていた。ラーンは懐中電灯の光を振り回し、壁に刻まれた奇妙な文字を指さした。「これは何だ？」イシェは慎重に近づき、指で文字をなぞった。「古代語に似ているけど...」
その時、地面が激しく震えた。天井から石が崩れ落ち、ラーンは咄嗟にイシェを庇い込んだ。埃が立ち込める中、テルヘルは冷静に状況を見極めていた。
「罠だ。」彼女は言った。「この遺跡は、侵入者を排除するための仕掛けが施されている。」
ラーンの顔色が変わった。「じゃあ、どうするんだ？」
テルヘルは真顔で、剣を構えた。「進むか、戻るかの選択だ。どちらを選ぶ？」
イシェはラーンに目をやった。彼の瞳には、いつもの無邪気な光ではなく、恐怖の色が浮かんでいた。イシェは深く息を吸い込み、決意したように言った。「進む。」
テルヘルは小さく頷き、先頭に立って暗い通路へと足を踏み入れた。ラーンの顔色は青白かったが、彼はイシェの手を握りしめ、後を追いかけた。