「おいラーン、あの遺跡の調査依頼、どうするんだ?」
イシェが眉間に皺を寄せながら、ラーンの顔色を伺った。ラーンの視線は遠く、どこか空虚に見えた。
「あの依頼か…確かに魅力的だな。報酬も悪くないし、あの遺跡にはまだ解明されていない部分があるらしいぞ。もしかしたら…」
ラーンは目を輝かせたが、すぐに肩を落とした。
「でもな、テルヘルに相談してみないと決まらないよな。あいつはヴォルダン絡みの依頼なら特に慎重になんだよ。」
イシェはため息をついた。「ああ、確かに。あの遺跡の近くにはヴォルダンの監視ポイントがあるって聞いたし、テルヘルの警戒も増すのは無理もないな…」
ラーンは小さく頷き、地面を蹴った。
「よし、じゃあ今日はテルヘルに相談に行くか。あいつが納得してくれたら、早速遺跡に向かうぞ!」
イシェはラーンの背中に手を当てた。「そうだね。でも、今回は本当に慎重に進めよう。ヴォルダン絡みの依頼はいつも以上に危険だぞ。」
二人は互いに頷き合い、ビレーの賑やかな町を後にした。夕暮れのオレンジ色の光が、二人に長い影を落としていた。