「よし、今回はあの崩れかけた塔だ!」ラーンが目を輝かせ、遺跡の地図を広げた。イシェは眉間に皺を寄せた。「また危険な場所かい?あの塔は崩落寸前だって聞いたぞ。それに、ヴォルダン軍が最近周辺を徘徊しているらしいよ」
「そんなこと知ってて面白いかい?大穴が見つかったら、ヴォルダン軍なんて吹っ飛ぶぞ!」ラーンの豪快な笑い声が響いた。イシェはため息をつき、地図を指さした。「あの塔の地下には、古代の魔法装置が残っているという噂があるらしい。もし、それが…」
「よし、それだ!」ラーンが興奮気味に言った。「テルヘルさん、どうだい?あれを手に入れたら、ヴォルダンなんか怖くなくなるぞ」
テルヘルは鋭い目で地図を見据えた。「情報収集は必要だ。ヴォルダン軍の動きや遺跡周辺の地形を詳しく調べろ。特に、塔の西側に目を配れ」
「わかった!」ラーンの笑顔が弾けた。イシェは不安を抱えながらも、テルヘルの指示に従って準備を進めた。
数日後、3人は塔の入り口にたどり着いた。崩れかけた石造りの階段を慎重に登っていくと、内部は暗く湿った空気に満たされていた。
「ここからは注意しろ!」イシェが小声で警告した。ラーンは先頭を切って進んでいくが、足元には落とし穴が開いていたり、天井からは石が落ちてきたりして危険な罠が仕掛けられていた。
ようやく塔の中央部にたどり着くと、そこには巨大な魔法装置が設置されていた。複雑な紋章が刻まれた装置は、静かに青い光を放っていた。
「これは…」イシェの言葉を遮るように、突然轟音が響き渡った。塔の西側壁が崩れ始め、ヴォルダン軍が侵入してきたのだ。「罠だ!」テルヘルが叫んだ。「イシェ、ラーン、装置を破壊しろ!」
ラーンは剣を振りかざし、装置に攻撃しようとしたが、イシェが彼を制した。「待て!あの装置、ヴォルダン軍も狙ってる。もし破壊したら、ヴォルダン軍が手に取ってしまったら…」
ラーンは困惑するが、イシェの言葉に納得した。テルヘルは冷静に状況を判断し、ヴォルダン軍との交渉を試みることを決めた。しかし、そのとき、塔の床から青い光が噴出し始めた。それは装置からのものではなく、地下深くから湧き上がってくるものだった。
イシェは驚愕した。「これは…!」
青い光は急速に広がり、塔全体を包み込んだ。そして、3人目の視界から全てが消えていった。