ラーンの汗が額を伝い、頬の皮膚まで流れ落ちる。灼熱の太陽の下、埃っぽい遺跡の入り口前で彼は深呼吸をした。イシェはいつも通り眉間に皺を寄せ、地図を広げている。「本当にここなのか？ AGAIN この遺跡は何度目か…」彼女の言葉にラーンは苦笑いした。「お前も分かってるだろ？ 今回は違うって！ テルヘルが言うんだから間違いないはずだ」
テルヘルは遺跡の奥深くで何かを呟いている。その声はかすれた金属のような音色で、まるでこの灼熱の砂漠自体が喋っているようだった。イシェはラーンの背中に手を当て、「気をつけろ。今回は特に危険な感じがする」と警告した。ラーンの皮膚には緊張感だけが走っていた。
遺跡の中は薄暗く、埃が舞い上がるたびに喉を締め付けられるような感覚がした。テルヘルが進むにつれて空気が冷たくなり、湿り気を感じ始めた。壁には不気味な模様が刻まれており、まるで生きているかのように肌に張り付くような感覚があった。イシェはラーンの手を強く握りしめ、静かに彼を励ました。
深い洞窟の奥で、テルヘルは立ち止まった。「ここだ…」彼女の目は燃えるように輝き、皮膚から滲み出るほどの強い意志を感じさせた。洞窟の奥には、巨大な石棺が置かれていた。その表面には複雑な模様が刻まれており、まるで生きているかのように脈打つように光っていた。
「これは…！」ラーンの声は震えていた。「お前が言っていた大穴…？」テルヘルは頷き、剣を抜き取った。「準備はいいか？ これで我々の運命が決まる」
イシェはラーンの皮膚の冷たさを触れながら、小さく頷いた。彼女もまた、この遺跡で何かが変わるという確信を深めていたのだ。