「よし、今回はあの崩れかけた塔だ！ 以前の調査で、地下に何かがあるって噂があったんだ」ラーンが目を輝かせながら地図を広げた。イシェは眉間にしわを寄せた。「また？あの塔は危険だって聞いたことがあるぞ。崩落するリスクが高いんじゃないか？」
「大丈夫、大丈夫！俺が先頭を行けばいいんだ！」ラーンの自信満々な態度にイシェはため息をついた。テルヘルはテーブルに肘をついて、鋭い視線で二人を見つめていた。「私はこの遺跡の調査結果をヴォルダンに報告する。貴方たちには危険な場所へ行く必要はない」
「え？でも報酬は？」ラーンの顔色が曇った。イシェは彼を制止しようとしたが、テルヘルは言葉を続け、「情報提供と引き換えに、より安全な遺跡の調査許可を得られる。ただし、条件付きだ」
「条件…？」ラーンの表情が硬くなった。「ヴォルダンが興味を持つようなものを見つける必要があるんだろ？」イシェは小さく呟いた。「皇族の遺物か…」
テルヘルは少しだけ微笑んだ。「そうだな。あの国の歴史に詳しい者なら、その価値を知っているはずだ」
ラーンの目は燃え上がるように輝き、イシェの視線はテルヘルの鋭い瞳に釘付けになった。ビレーから遠く離れた遺跡。そこには彼らの運命を左右する秘密が眠っていた。