ラーンがいつものように大口を開けて笑った。「おいイシェ!今日は絶対に何か見つかるって気がするぜ!」彼の目の奥には、いつも通りの無邪気な輝きがあった。イシェはため息をついた。ラーンの言葉は、まるで過去の遺跡探査の成功体験を全て忘れ去り、白昼夢を見ているようだった。
「ラーン、あの遺跡は危険だって聞いたよ。罠だらけだってさ」とイシェが言うと、ラーンは肩を軽くすくめた。「そんなもん気にせえな!俺たちが最強だぞ!」彼の言葉は自信に満ちていたが、イシェにはどこか不安を感じさせた。
テルヘルは冷静に状況を分析していた。彼女はラーンの無鉄砲さに手を焼いていたが、彼の手腕とイシェの冷静さは確かに役に立つものだった。特にイシェの洞察力は鋭く、遺跡の謎を解き明かす鍵となることが何度もあった。
「よし、準備はいいか?」テルヘルが尋ねると、ラーンはにこやかに頷いた。イシェは深く息を吸い、緊張した表情で遺跡へと足を踏み入れた。
遺跡内部は薄暗く、不気味な静けさが支配していた。壁には謎の模様が刻まれており、床には崩れ落ちた石の破片が散らばっていた。ラーンは興奮して周囲を見回し、イシェは慎重に足取りを確かめながら進んだ。テルヘルは後ろから二人を警戒しながら、常に周囲を警戒していた。
すると、突然、壁の一部がスライドし始めた。その隙間から、白く光る何かが見えた。ラーンの目は輝き、興奮した声で「見つけた!宝だ!」と叫んだ。しかし、イシェは何かを感じ取った。その光は、まるで生き物のように脈打っているように見えた。
テルヘルが警告の声を上げたその時、光は激しく輝き、遺跡全体を包み込んだ。白昼夢のような光景が広がり、三人は一瞬にして意識を失った。