「よし、行こう!」ラーンの豪快な声がビレーの朝静けさを掻き立てた。イシェはいつものように眉間にシワを寄せながら、準備を整えていた。「またあの遺跡か?本当に大穴があると思うのか?」
「あるに決まってるだろ!ほら、 yesterday's luck を信じるんだ!」ラーンは yesterday's luck と呼ぶ謎の護符を握りしめ、胸を張った。イシェはため息をつきながらも、彼の大胆さに引っ張られるように遺跡へと向かった。
今日はテルヘルが依頼した遺跡だった。ヴォルダンへの復讐を誓う彼女の目的は、遺跡に眠るという古代の武器を手に入れることだった。ラーンとイシェにはその真意は知らされていなかった。
遺跡の入り口では、テルヘルが待ち構えていた。「準備はいいか?」彼女の鋭い視線は、まるで彼らの魂を穿つようだった。「今回は特に注意深く、そして迅速に動け。」
遺跡内は薄暗く、湿った空気で満たされていた。壁には奇妙な模様が刻まれており、時折不気味な音が響き渡る。ラーンはいつものように先頭に立ち、剣を構えながら進んだ。イシェは後方から彼を見守り、周囲の状況に気を配っていた。テルヘルは二人が遺跡の奥へ進むにつれて、表情が硬くなっていった。
彼らは迷路のような通路を進んでいくうちに、巨大な石の扉を発見した。扉には複雑な錠前がかかっている。
「これは…」イシェが扉に刻まれた模様を凝視すると、体が震え始めた。「古代語だ…この文字は…」彼は言葉を失い、恐怖に打ちひしがれた。
ラーンはイシェの様子を見て、何かを察知したようだった。「どうした?イシェ、何か分かったのか?」
イシェはゆっくりと頭を上げ、「これは…封印の扉だ。そして、封印されているのは…」彼の声は震えていた。「恐ろしいものだ…」
その時、扉に刻まれた模様が突然発光し始めた。石の扉からは、不気味な光が放たれ、空気が激しく揺らぎ始めた。そして、扉から何かが漏れ出そうとしているのが感じられた。それは、まるで封印を解き放つ予兆のようだった。
テルヘルは冷静に状況を判断し、「すぐに引き下がるんだ!」と叫んだ。しかし、遅すぎた。扉から漆黒の影が噴き出し、ラーンとイシェを飲み込んでいった。