ビレーの朝はいつも早かった。ラーンが目を覚ますと、イシェがすでに火を起こし、簡易な朝食を準備していた。
「今日はどこ行くんだ？」
イシェは、いつも通り、冷静に答えた。
「テルヘルが指定した場所だ。地図を見る限り、ヴォルダンとの国境付近にあるらしい。」
ラーンの顔色が少し曇った。「また危険な遺跡か？あの辺りはヴォルダンの兵士の巡回も頻繁だって聞いたぞ」。イシェは何も言わずに、パンをラーンに手渡した。ラーンの心には不安がちらついていた。最近、彼には謎の倦怠感がつきまとっていたのだ。
テルヘルが待っている場所に着くと、彼女はいつものように鋭い目で二人を見据えていた。
「今日は特に注意が必要だ。遺跡の奥にある部屋には、ヴォルダンが探している遺物があるらしい。お前たちにはそれを盗み出す任務だ。」
ラーンは少し驚いた。「盗む？そんな…」
イシェがラーンの言葉を遮った。「何 Saysテルヘル？ 」
テルヘルはニヤリと笑った。「安心しろ、報酬は倍にする。それに、今回は特に危険な場所だからな」
遺跡の入り口に近づくにつれて、ラーンの体中に異様な熱が湧き上がってきた。まるで肌が燃えるような感覚だ。イシェも顔色が悪くなった。「何か変だな…」と呟く。
遺跡の中は暗くて湿っていた。石畳の上を歩くと、不気味な音が響き渡る。ラーンは、いつも以上に不安を感じた。そして、彼の体はさらに熱くなっていった。まるで、体の中から何かが沸き上がってくるような感覚だ。
イシェが突然、声を上げた。「ラーン、発疹が出始めたぞ！」 ラーンの腕には、赤い発疹が広がり始めていた。
「これは…？」
ラーンは、自分の体に異変を感じながら、遺跡の奥へと進んでいく。そこには、ヴォルダンが探している遺物があり、そして、彼自身の運命が待ち受けているはずだった。