ラーンの大 swing が埃を巻き上げる。崩れかけた石壁から飛び出した巨大な蜘蛛が、糸を吐きながら彼らに襲いかかってきた。イシェは素早く後ずさりし、用意していた短剣を構えた。「ラーン、気をつけろ!」
「わかってるよ、イシェ!あいつを倒して遺跡の奥へ行くんだ!」ラーンは剣を振り下ろし、蜘蛛の糸を断ち切る。だが、蜘蛛は巨大な体で彼に襲い掛かる。その瞬間、テルヘルが後ろから飛び降り、短剣を投げつけた。蜘蛛の目に刺さった短剣は、燃え盛る炎を噴き出した。
「何だこれは…」イシェは驚いて目を丸くする。テルヘルは冷たく言った。「発火弾だ。ヴォルダンから盗んだものの一つだ。この遺跡には危険な生物が多い。だが、この弾を使えばほとんどのものが片付けられるだろう」。ラーンの顔は興奮で赤らみ、「すごい!これで奥まで行けるぞ!」と叫んだ。イシェはテルヘルの言葉を疑いながらも、蜘蛛が燃え盛る姿を見て、少しだけ安心した。
しかし、炎が消えると、蜘蛛はさらに巨大な姿になって復活した。その目は、怨念に満ちた赤い光を放っていた。発火弾の効果は一時的なものだったのだ。イシェは、この遺跡が持つ危険さを改めて実感し、背筋が寒くなった。彼らの前に立ちはだかるのは、単なる巨大生物ではない。何かもっと恐ろしいものが、この遺跡の奥に眠っているのかもしれない。そして、その発火点に火をつけたのは、誰なのか…。