ビレーの灼熱の太陽の下、ラーンは額の汗を拭いながら、錆びついた剣を研ぎ澄ました。「今日は何かいいものが見つかる気がするぜ!」彼の言葉はいつも通り大仰だったが、イシェはいつものように眉間にシワを寄せていた。
「そんなこと言っても仕方がないでしょ。遺跡はいつだって危険な場所よ。それに、テルヘルがくれる報酬以外に、何も期待できないわ」イシェは涼しげな声で言った。彼女の視線は、遠くのヴォルダンとの国境にある山脈に向けられていた。
「そうだな、今回はテルヘルの依頼だからな。あの女は何を企んでいるんだろうな…」ラーンは呟きながら、剣を鞘に納めた。彼の背中には、汗が滲んで黒く染まった布地が張り付いていた。
彼らは遺跡へと続く洞窟の入り口に立っていた。洞窟の入り口には、奇妙な文様が刻まれており、不気味な静けさが漂っていた。
「よし、行こう!」ラーンの言葉と共に、3人は洞窟の中へ足を踏み入れた。薄暗い洞窟内は、湿った空気でいっぱいだった。
「ここには何かあるはずだ」テルヘルが言った。彼女の目は鋭く洞窟の奥を伺っている。「この遺跡は、ヴォルダンと深い関わりがあるらしい。ここに眠る遺物は、我々の復讐に必要不可欠なものだ」
ラーンはテルヘルの言葉に少しだけ胸を打たれた。彼はいつも無邪気に遺跡を探していたが、テルヘルには復讐という重い目的があったのだ。イシェもまた、テルヘルの言葉を聞いた時、どこかでその真意を察知したような表情を見せた。
彼らは慎重に洞窟の中を進んでいった。足元には、滑りやすい石畳が広がっていた。ラーンの額から、汗がポツリと落ちてきた。
「気をつけろ!」イシェが叫んだ瞬間、天井から石が崩れ落ちた。ラーンは素早く身をかわした。イシェもまた、冷静に状況を把握し、近くの岩陰に避難した。
テルヘルは、落ち着いて剣を抜いた。「この遺跡には罠が仕掛けられているようだ」彼女は言った。彼女の目は、洞窟の奥へと向けられていた。
「罠か…」ラーンは呟きながら、剣を握りしめ直した。彼の掌からは、汗が滲み出ていた。彼らは、危険な遺跡探検に挑んでいたのだ。