「準備はいいか?」ラーンが巨大な遺跡の入り口を見つめながら言った。イシェはいつものように地図を広げ、複雑な通路を指さしながら、「西側の支路から入るべきだ。あの崩れた壁に何かがあるかもしれない」と冷静に指示した。
ラーンの視線は遺跡の奥深くへと向けられた。まるで巨大な歯車のような石造りの建造物、どこまでも続く迷宮のような構造。彼にとってこの遺跡は、いつか大穴を掘り当てるための宝庫だった。
「よし、行こう!」ラーンが先頭に立ち、イシェに続くように内部へ足を踏み入れた。薄暗い通路を進み、彼らの足音だけが響く。壁には奇妙な模様が刻まれており、まるで発条仕掛けの歯車のように複雑に組み合わさっている。
「ここは以前にも来たことがあるはずだ…」イシェが眉間に皺を寄せた。「あの時と同じような模様…」
「何だ、この模様は?」ラーンが指差す方向には、壁に埋め込まれた小さな金属製のギアが見えた。まるで巨大な機械の一部のように、複雑に絡み合っている。
その時、後ろからテルヘルの声が響いた。「これは発条仕掛けのトラップだ。触らないように」
ラーンの足はすでにはじかれていた。床から突如として発射された矢が彼の目の前を掠め、壁に刺さった。イシェは素早くラーンを引き寄せ、「気をつけろ!」と叫んだ。
「Damn it!」テルヘルが剣を抜く。「この遺跡はヴォルダンが何かを隠している場所だ。きっと罠だらけだ」
三人は協力してトラップを避けながら進み、深い地下へと降りていった。発条仕掛けの歯車やギヤが複雑に絡み合い、まるで巨大な時計のような構造。その奥には何があるのか、ラーンは胸を高鳴らせながら歩を進めた。
そしてついに、彼らは広大な部屋に出た。中央には巨大な装置があり、無数の歯車が回転している。その中心には、光る球体がある。
「これが…大穴か?」ラーンの目は輝き、イシェも息を呑んだ。テルヘルは静かに剣を構え、周囲を見回した。「ヴォルダンが何のためにここを守っているのか…」
その時、装置の回転が加速し、部屋全体が震え始めた。球体から発せられる光が強くなり、空気を熱くした。三人は互いに顔を見合わせた。何かが起ころうとしている。