ラーンの肩越しに伸びる夕焼けが、イシェの顔色を赤く染めていた。ビレーの街灯が灯り始め、遺跡からの帰り道だった。今日は収穫があった。テルヘルが指定した場所に眠っていた古代の金貨だ。だが、イシェの心には安堵感よりも重たい影が落とっていた。
「ラーン、あの痣のこと…また考えているのか?」イシェの視線は、ラーンの首筋に浮かぶ黒く太い痣に向かった。いつもならラーンは気にも留めない様子で、「気にすんな」と笑うのだが、今日は無言で strides を続けている。
テルヘルが「あの痣には秘密がある」と呟いた日から、イシェの不安は増すばかりだった。ヴォルダンとの関係性、そしてその痣が隠した真実。テルヘルはなぜラーンを雇ったのか?それは単なる遺跡探索のためだけではない、何か別の目的があったのではないか。
「イシェ、大丈夫だ。心配するな」ラーンの声が響いた。しかし、彼の声にもいつもの軽快さが欠けている。イシェはラーンの背中に手を当てると、かすかに震えるのを感じた。
ビレーの街灯が近づくにつれて、イシェは決意した。ラーンの秘密に巻き込まれることは避けられないかもしれない。だが、彼が一人で抱え込む必要はない。イシェはラーンと共に、真実へと続く道を歩むことを決意した。
そして、その先に待ち受ける運命とは…。