ラーンの重い斧が石壁を切り裂き、埃埃が舞った。イシェの細かな足音がその後に続き、薄暗い遺跡内部へと消えていく。ラーンは深く息を吸い込み、汗ばんだ額に手を当てた。いつもより湿度が高い気がする。
「ここか？」
イシェの声が遠くから聞こえた。ラーンの視界には崩れた石柱と、苔むした壁しか見えない。だがイシェの目は何かを見つけたようだった。彼の指先が震え、足音が急激に近づく。
「これは…！」
イシェが興奮気味に言った。ラーンの目の前には、壁に埋め込まれた小さな金属製の箱があった。イシェは慎重に箱を開け、中の石を拾い上げた。それは半透明の結晶で、内部に光が脈打っているように見えた。
「なんだこれは？」
ラーンが近づき、石を覗き込んだ。その瞬間、激しい痛みが彼の頭を貫いた。まるで頭蓋骨から何かが押し出そうとするかのような痛みだ。ラーンは思わず叫び、後ずさりした。意識が遠のいていく中、イシェの声がかすかに聞こえた。
「ラーン！大丈夫か！」
意識が戻ると、ラーンの視界にはイシェが心配そうに顔を覗かせている。彼はゆっくりと立ち上がり、手をかすめた頭部に痛みを感じた。
「何だ…あの石は…」
イシェは真剣な表情で言った。
「これは危険だ。この遺跡からすぐに出て行こう」
ラーンの体は重く、痛みが残っていた。だがイシェの言葉に頷き、立ち上がった。
彼らは遺跡を後にした。外に出ると、日差しが blinding に眩しかった。ラーンは深く息を吸い込み、太陽の光を浴びながらゆっくりと歩いた。しかし、頭の中の痛みは消えることはなく、彼の心には不吉な予感が残っていた。