ビレーの酒場「荒くれ者」の薄暗い隅で、ラーンが大きなタンブラーを傾けていた。「おい、イシェ、またあの遺跡行くぞ!今度こそ大穴だ!」
イシェは眉間にしわを寄せて、「ラーン、あの遺跡は危険だって言っただろう。地図も不完全だし、罠もあるって噂だ」と冷静に反論した。
「大丈夫、大丈夫!俺が先頭切って進むから。テルヘルもいるし、な!」
ラーンの言葉に、イシェはため息をついた。「テルヘルは一体何者なんだ?ヴォルダンへの復讐だって言うけど、本当のことなのか?」
ラーンの表情が曇る。「それは知らない…でも、テルヘルは俺たちを裏切らない。」
テルヘルは席を外し、店の奥で影のように佇んでいた男と密談をしているように見えた。イシェは怪しい視線を感じたが、ラーンは気づいていないようだった。
「よし、明日遺跡に潜るぞ!」ラーンの言葉に、イシェは深くため息をついた。
翌日、遺跡の入り口で、テルヘルは奇妙な表情を浮かべていた。
「ここには何かある…何か隠されているものがある…」
彼女は地面に目を落とすと、小さな石を拾い上げた。石には複雑な模様が刻まれており、どこか不気味なものを感じさせた。イシェはテルヘルの様子に疑惑を抱き始めた。彼女は本当に遺跡を探索したいだけなのか?それとも何か別の目的があるのか…?