ラーンの大 swing が石柱を粉砕する音だけが、埃っぽい遺跡の空間を満たした。イシェは眉間に皺を寄せて、崩れかけた通路を慎重に見渡した。
「本当に大丈夫なのか? この遺跡、何か変だぞ」
ラーンは軽やかに rubble を跳び越えながら、豪快に笑った。
「大丈夫だ、イシェ。俺の勘が間違うわけないだろう?」
だが、イシェはそんな楽観的な態度にはなれなかった。この遺跡は他のものとは違う。空気が重く、何かが蠢いているような感覚を拭いきれなかったのだ。
その時、背後から冷たく鋭い声が響いた。
「二人とも、落ち着いて。無駄な動きは禁物だ」
テルヘルが、その漆黒の瞳で二人を見据えていた。彼女はいつも通り冷静沈着だが、今回は何かが違っていた。まるで、この遺跡の奥底に眠る何かを知っているかのような、不気味な光を放っていた。
「よし、準備はいいか? 核心に近づこう」
テルヘルが言った。イシェはラーンの顔色を見つめた。彼の瞳にはいつもの輝きがあったが、そこに少しだけ不安の色が宿っているように見えた。
その時、突然、遺跡の奥深くから不気味な音が響き渡った。まるで、何者かが苦しげに呻いているような声だった。ラーンとイシェは互いに顔を見合わせた。その目は、恐怖と好奇心、そしてどこかで芽生えてきた疑念を映していた。
「あれは…?」
イシェの言葉は途絶えた。テルヘルは不敵な笑みを浮かべて言った。
「これが、私が求めていたものだ」