ラーンの大斧が石の壁を砕き、埃が立ち込める中、イシェは咳払いをして顔をしかめた。「また無駄なことを…。」
「うるさいなぁ、イシェ。ほら、見てみろよ!」
ラーンが指差す方向には、壁の中から奇妙な模様が浮かび上がっていた。青白い光を放つ幾何学的な図形は、まるで生きているかのように脈打っている。イシェは眉間にしわを寄せながら近づき、図形の周りを慎重に観察した。
「これは…。」
「何か分かったのか?」ラーンの期待に満ちた声に、イシェは小さく頷いた。
「古代の遺跡で使われていた記号と似ている。恐らく、この部屋の奥には何かがあるはずだ。」
その時、背後から冷たい声が響いた。「面白い発見ですね。では、その奥へと進んでみましょうか?」
テルヘルが不気味な笑みを浮かべている。彼女の瞳は、まるで燃える炎のように、不穏な光を放っていた。ラーンの興奮を抑えきれない様子を見て、イシェは不安を感じた。
「待てよ…」と呟いた時、床が激しく震え始めた。壁の模様が歪み、青白い光が激しく点滅し始めた。
その時、壁の一部が崩れ落ち、そこから漆黒の影が溢れ出した。それは、人間の姿とはかけ離れた、異形の存在だった。無数の触手と、鋭い牙を持つその姿は、見る者を狂気に陥れるような恐怖を放っていた。
ラーンは剣を構え、テルヘルは daggersを抜き取った。イシェは震える手で杖を握りしめ、恐怖に打ちひしがれながら、異形の影に立ち向かう仲間たちの背中に必死に食らいついた。