「おいイシェ、どうだ？今日はいい感じの場所が見つかったぞ！」ラーンが興奮気味に叫びながら、石畳の通路を進んできた。イシェは眉間に皺を寄せつつ、後ろから続いた。「また、そんな大げさな言い方しないでほしいわ。あの、ヒビ割れた壁と埃っぽい床を見て、一体何を感じたのかしら。」ラーンの背後からテルヘルが冷めた声で問いかけた。「この遺跡の構造、奇妙だと思わないか？まるで何かを隠すように作られたかのようだ」
ラーンは気にせず、石畳に刻まれた複雑な模様を指差した。「ほら見て、これ！もしかしたら古代文明の地図かもしれないぞ！」イシェはため息をつきながら、その模様を慎重に観察する。「地図か…確かに何らかの記号のようだが、意味はさっぱり分からないわ」テルヘルは静かに周囲を見回し、鋭い視線を壁の隙間から漏れる光に向けた。「この遺跡は、単なる遺物置き場ではない。何かを守っているように思える」
その時、突然、通路の奥から轟音が響き渡った。ラーンとイシェは驚いて振り返り、テルヘルは剣を抜き出した。「何だ！？あの音は…！」ラーンの言葉が途切れると、通路の先に巨大な石像が現れた。その目は赤く光り、口からは熱風が吹き出している。
「遺跡の番人か…」テルヘルが呟くと、剣を構えて石像に立ち向かった。ラーンは慌てて剣を取り出し、イシェは後方から弓矢で援護する。「待て！あの石像、動きがぎこちないぞ！」ラーンの言葉に、テルヘルの攻撃が止まった。「確かに…何かおかしい」イシェも同意するように言った。石像は荒々しく動きながらも、まるで操り人形のように不自然な動作を繰り返している。
「これは罠だ…」テルヘルは冷静に判断し、石像の足元にある仕掛けを見つけ出した。「この遺跡には、誰かが意図的に仕掛けを設けた可能性が高い。あの石像は単なる番人ではなく、侵入者を阻むための試練なのだろう」ラーンとイシェは驚きの声を上げた。
テルヘルは深く考え込むように言った。「つまり、この遺跡は誰かの策略に巻き込まれている可能性がある…」 そして、ラーンの顔色を伺いながら、「あの石像を倒すよりも、この遺跡の真実に迫ることが重要だ。」ラーンは苦虫を噛みつぶしたような顔で、テルヘルとイシェを見つめた。「つまり、あの騒ぎを起こした責任を問われるってことか…」
イシェはため息をつきながら、ラーンに言った。「そうね。今回は、申し開きをする必要があるわね」