「よし、今回はあの洞窟だ!」
ラーンの声はいつもより高かった。イシェは眉間に皺を寄せながら、彼の背後から地図を広げた。
「また危険な場所を選んだわね。あの洞窟は、以前にも collapses があったらしいわよ」
「大丈夫だって!俺たちにはイシェがいるじゃないか!それに、今回はテルヘルさんが報酬をアップしてくれたんだぞ!」
ラーンの言葉に、イシェはため息をついた。テルヘルの提示した報酬額は魅力的だった。だが、イシェの目は洞窟の地図にある奇妙な記号に釘付けになっていた。それは、まるで生物のような曲線と渦巻きが描かれたもので、かつて見たことのないものだった。
「あの記号…何か意味があるのかしら…」
イシェが呟くと、ラーンは肩をすくめた。
「そんなの気にすんな!さあ行こうぜ!」
洞窟の入り口は狭く、湿った石畳に苔が生えていた。内部は暗く、不気味な静けさだった。進むにつれ、空気中に奇妙な臭いが漂い始めた。それは腐敗した肉の臭いと、何か生きた生物が放つような、甘酸っぱい臭いが混ざり合っていた。
「なんか気持ち悪い…」
イシェは鼻をつまみながら、ラーンの後を続けた。洞窟の奥深くで、奇妙な音が聞こえてきた。それはまるで、何かの生物が呼吸する音のようだった。
「何かいるぞ…」
ラーンは剣を構え、緊張した表情で周囲を見回した。イシェも静かに daggers を抜き取り、警戒態勢に入った。
「待て!」
テルヘルが声を上げた。彼女の目は洞窟の奥深くを見つめていた。そこで見えたものは、イシェの予想をはるかに超えていた。
巨大な生物。それは、まるで石でできた虫のような姿をしていた。その体は複数の節から成り立っており、それぞれに目が点在していた。生物はゆっくりと動きながら、口から粘液を垂らしていた。その粘液は、洞窟の床に落ちると溶かし始めるように煙を上げていた。
「これは…!」
イシェは言葉を失った。ラーンは剣を握りしめ、戦いを覚悟した。テルヘルは静かに口を開き、冷酷な笑みを浮かべた。
「これは面白い…」