ラーンの大笑い声がビレーの朝霧を切り裂いた。イシェは眉間にしわを寄せながら、彼の肩を叩いた。「また遺跡の夢でも見たのか? 今日は特に慎重に進まないと」
「大丈夫だ、イシェ。今回は俺が何か感じるんだ。今日の遺跡にはきっと何かある!」ラーンはそう言いながらも、イシェの言葉に少しだけ気を良くしない顔をした。テルヘルは静かに地図を眺め、「準備はいいか?」と鋭い視線を向けた。
三人は、かつて栄華を極めた文明の遺跡へと続く道を歩む。道中は荒れ果て、崩れかけた石造りの壁が朽ち果てた姿を晒している。ラーンは冒険心を燃やし、イシェは警戒心を高め、テルヘルは沈黙の中で計画を練っていた。
深い洞窟の中、彼らは古代の文字で刻まれた巨大な石板を発見した。ラーンの興奮を抑えきれない様子に、イシェが冷静に「触らないで」と警告する。しかし、すでに遅かった。石板に触れた瞬間、洞窟全体が震え始めた。
壁一面から光が放たれ、石板には複雑な図形が浮かび上がる。ラーンは目を輝かせ、テルヘルは眉をひそめた。イシェだけが不吉な予感を抱き、足取りを遅らせた。「これは…生成なのか?」と呟いた彼女の言葉は、洞窟の奥底で何かが生まれる予兆だった。