「よし、今回はあの崩れかけた塔だ。イシェ、地図確認したか?」ラーンの声がエコーのように響き渡る。彼らには巨大な遺跡の入り口ではなく、瓦礫の山と化した崩れた塔の影しか見えない。
「ああ、地図によると塔の中央部にある部屋に何かがあるらしいわ」イシェは眉間に皺を寄せながら答える。「でも、あの崩れ方だと内部はさらに危険かもしれないわよ。ラーン、本当に大丈夫? 」
ラーンは瓦礫の山に登り始める。「大丈夫だって! そんなことより、宝が眠ってるかもしれないんだぞ! さあ、テルヘルさん、準備はいいか?」
「もちろん」テルヘルは鋭い眼差しで周囲を警戒しながら言った。「遺跡の罠には気をつけろ。そして、もし何か見つけたら、すぐに知らせるのだ。」彼女は瓦礫の山を軽々と越え、塔へと続く暗い通路に足を踏み入れた。ラーンの後ろをイシェが控えめに続き、テルヘルは常に最前線を行く。
内部は薄暗く、埃っぽい空気が漂う。崩れた天井から細かな石が落ちてくる音が不気味に響き渡る。彼らは慎重に瓦礫の山をよけながら進み、やがて塔の中央部へとたどり着いた。そこには、朽ち果てた祭壇が残っていた。
「ここか… 」イシェは祭壇の周りを慎重に調査し、小さな石碑を見つけた。「何か書いてあるわ…」
「何て書いてあるんだ?」ラーンの期待が膨らむ。
イシェは石碑を拭きながら読み上げた。「『この地に眠るものは、過去と未来を繋ぐ鍵である』…」
その瞬間、床の瓦礫の下から光が漏れた。三人は息をのんで見下ろすと、そこには輝きを増す奇妙な石が埋め込まれていた。それはまるで、過去からのメッセージを今ここに伝えようとしているかのように、静かに光り輝いていた。