ラーンが石を蹴飛ばして、イシェの眉間にしわを寄せている様子を眺めた。いつも通りの光景だ。
「おい、イシェ、まだ文句言ってるのか?」
イシェはため息をついた。「お前は本当に... 今日は何のために遺跡に来たんだ?宝探し?それともただの遊び?」
ラーンの肩が大きく揺れた。「だって、いつかは掘り当てるだろ?大穴ってやつ。あの瑞兆の話を思い出せよ!あの洞窟の入り口で見たあの光!」
イシェは小さく笑った。「またあの話か。あれはただの光だよ、ラーン。幻覚かもしれないし。」
「違うって!あの光が僕を導いてくれるんだ。」ラーンの目は輝いていた。
その時、テルヘルが近づいてきた。「準備はいいですか?」彼女の言葉は冷たかったが、目には燃えるような意志があった。「今日は少し変わった遺跡に入る。危険だが、報酬も大きい。」
イシェは眉をひそめた。「どんな遺跡だ?一体何が見つかるんだ?」
テルヘルは口元に笑みを浮かべた。「それは秘密です。でも、きっとあなたたちの期待を裏切らないでしょう。」
ラーンの心は高鳴っていた。ついに来たのか、あの瑞兆が示す場所へ。イシェの心配をよそに、彼は剣を手に取り、遺跡へと足を踏み入れた。
洞窟の奥深くで、彼らを待ち受けるものは何なのか。それは誰にも分からなかった。しかし、ラーンの心には確信があった。あの光は彼らを導く。そして、そこで待っているのは、ただの宝ではない何かがあるはずだと。