「よし、今回はあの洞窟だ」ラーンが地図を広げ、興奮気味に指さした。イシェは眉間にしわを寄せた。「また危険な場所か。あの洞窟は collapse の噂があるぞ」
「大丈夫だ、イシェ。俺が先頭を切って行くから」ラーンは自信満々に剣を抜いた。テルヘルは静かに彼らを眺めて、「二人とも落ち着いて行動しろ。今回は特に注意が必要だ」と冷たく言い放った。
洞窟の入り口に差し掛かると、冷たい風が吹き付け、不気味な影が壁をよぎる。「何かいるぞ…」イシェの耳元でラーンが呟いた。テルヘルは懐から小さな宝石を取り出し、光を放つように振る。すると、壁一面に描かれた古代文字が浮かび上がった。「これは…!」テルヘルは目を輝かせた。「伝説の王墓の入口だ」
洞窟内は暗く湿っていた。ラーンの足音が重々しく響き渡り、イシェは緊張で汗を滲ませていた。突然、床が崩れ始め、ラーンは深淵に落ちていく。「ラーン!」イシェの叫びがこだまする。
テルヘルは冷静さを保ち、ロープを投げ下ろす。「掴まれ!」ラーンの手は滑り落ちそうになるが、なんとかロープを握りしめた。「よし、ゆっくり登れ」テルヘルの声が響く。
上に戻ったラーンは泥だらけで息を切らしていた。「あの時、足を取られた気がしたんだ…」イシェは安堵の表情を見せながら、ラーンの体に寄り添った。
「王墓への道は険しいだろう」テルヘルは静かに言った。「だが、その先に、我々が求めるものがある」 そして、彼女は三人の前に広がる漆黒の洞窟を見つめた。そこには、歴史と謎が眠っていた。