王統

王の血筋。王位の継承系統。

物語への影響例

権力の血縁的連続性。歴史的必然と偶然の織り成す系譜。伝統の重み。

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ビレーの酒場で、ラーンが豪快に笑いながら酒を煽る。イシェは眉間にしわを寄せながら彼の横に座り、小皿に盛られた干し肉をつまんでいた。

「また遺跡で見つけたのか?」

イシェの言葉に、ラーンは満面の笑みで頷く。

「ああ、今回は古代の壺らしいぞ!テラコッタ製で、装飾が凝ってるんだ。テルヘルも喜んでくれるだろう」

「まさかまた、あのヴォルダン絡みのものか?」

イシェはため息をついた。ラーンとテルヘルは最近、ヴォルダンとの関連が深い遺跡ばかりに目を向けている。それはテルヘルの復讐心ゆえだが、イシェにとっては危険な予感しかしない。

「まぁ、報酬もいいし、気にしない気にしない」

ラーンの軽い言葉にイシェは苦笑する。彼の楽観的な性格は、時にイシェを安心させることもあるが、時にはイシェ自身の不安を増幅させることもあった。

その時、酒場の入り口から一人の男が入ってきた。黒装束をまとい、鋭い眼光を持つその男は、テルヘルにそっくりだった。しかし、彼の顔にはどこか冷酷な影が落とされていた。

「テルヘル様」

男は低い声で言った。ラーンとイシェは互いに顔を合わせた。

「何事だ?」

ラーンの問いかけに、男はゆっくりと口を開いた。

「ヴォルダンから連絡がありました。王統に関する重要な遺物が見つかったそうです。テルヘル様には、その遺物を回収するよう命じられました」

イシェの心は氷のように冷たくなった。ヴォルダンと王統。それは、かつてヴォルダンが滅ぼした王家との繋がりを意味する。そして、その王家の血筋は、今なお生き続けているという噂も流れていた。

ラーンは興奮気味に立ち上がった。

「王統!それなら大穴かもしれないぞ!」

イシェはラーンの肩を抑えようとしたが、彼はもう動かない。彼の目は、男の言葉に燃えるように輝いていた。