ビレーの酒場で、ラーンが豪快に酒を煽り、イシェがため息をつく。
「また遺跡探検かよ?俺たち、いつになったら大穴を掘り当てるんだ?」
ラーンの耳には入らない。彼は今、テルヘルから持ちかけられた新たな仕事内容に夢中だった。
「ヴォルダンの王族の墓だそうだ。そこには、とんでもない宝が眠っているらしい」
イシェは眉間にしわを寄せた。「王族の墓?そんな危険な場所に行くなんて…」
ラーンは笑い飛ばした。「大丈夫だって。テルヘルが言うんだぞ。あの女なら嘘をつかない」
テルヘルは、ヴォルダンへの復讐心から遺跡探索に精通する女性だ。彼女はラーンたちを雇い、独自の目的のために遺跡を探検させている。
「それに、報酬もスゴイらしいぞ!これでようやく俺たちにも大穴が掘れるかも!」
イシェはラーンの熱意に心を痛めた。彼には、危険と報酬しか見えていないようだ。
「でも、ヴォルダンと敵対するなんて…」
「大丈夫だ。テルヘルが全てを計画してくれるさ」
ラーンは自信満々に言った。しかし、イシェの心は不安でいっぱいだった。ヴォルダンという巨大な影が彼らを脅かし続けていることを、ラーンは理解していないのかもしれない。