ビレーの酒場「三叉路」の賑やかな喧騒とは対照的に、ラーンはイシェに眉間にしわを寄せていた。「またか？」と吐き捨てた言葉には、諦めと苛立ちが込められていた。
「あの遺跡、今回は本当に危険らしいぞ。以前、ヴォルダン兵に襲われたって話だ」
イシェは静かに酒を傾けながら言った。「情報の出所は確かなのか？」
ラーンの視線がテルヘルに向かう。彼女はいつも通りの鋭い眼差しで酒を飲み干していた。「情報源には自信がある」とだけ答えた。
ラーンはため息をついた。「ヴォルダン兵だと？あの辺りに王家の遺跡があると聞いた覚えがあるぞ。まさか…」
イシェは小さく頷いた。「もしそうなら、ヴォルダンの動きが気になる」
テルヘルは静かにテーブルを叩き、「準備はいいか？」と問いかけた。ラーンとイシェは互いに顔を見合わせた。危険な状況なのは明らかだったが、彼らはすでにこの仕事を引き受けていた。
「準備は万端だ」とラーンの言葉に、イシェは小さく頷いた。
三人は tavern を後にし、遺跡へと続く山道を歩み始めた。夕暮れの光が沈みゆく空を赤く染め、影は長く伸びていく。彼らの前に広がるのは、未知なる危険と、もしかしたら、大穴への鍵なのかもしれない。